ミックスに埋もれたグルーヴ
誰にでも経験があるはずです。曲を覚えようとしても、あまりに多くの音が同時に鳴っていて、細部がまったく聴き取れない。ホーンがあり、ギターがあり、キーボードがあり、その混沌の中では、シンプルなパートでさえ覚えるのが難しくなります。ミックスの中に埋もれてしまうからです。新しいグルーヴを身につけようというとき、その幾重もの層が、キックドラムやスネア、ハイハットの動きを覆い隠してしまうのです。うれしいことに、曲を手早く分解し、要素ごとに切り分けて、気になる部分だけを前面に出す方法があります。
転機:一つずつ分解して、それぞれを確かめる
Moisesは、練習中の曲をパートごとに分離し、必要なものだけを取り出してくれます。たとえばドラムスなら、すべてがひとまとめになった1本のトラックより先へ進めます。
Moisesでは、ドラムスの各要素を単体にできます。キックドラム、スネア、ハイハットなどです。曲の中でそれぞれの要素がどんな役割を果たしているのかを本当に理解するには、これが一番の方法です。さらにメトロノーム、カウントイン、ループセクションを組み合わせれば、ミックス全体をループさせたまま分かる日を待つより、はるかに速く曲全体を把握できます。
まず曲を通して聴き、それからドラムスの要素を一つずつ聴く
新しい曲を覚えるときは、必ず頭から通して、まず全体を聴きます。以前取り組んでいた曲では、イントロを聴いただけで、この先いいグルーヴが来るぞと分かりました。ただ、先走る前に、あの密度の高いミックスの中でキックドラムとスネアが実際に何をしているのかを、きちんと聴き取りたかったのです。
そこでキックドラムをソロにして、幾重もの層の下に隠れているものを確かめました。
焦らず弾けるところまでテンポを落とす
新しいグルーヴで何が一番大事なのかが見えてきたら、テンポを落とすときです。さきほどの曲でいえば、原曲のテンポは113BPMなので、そこから数段階下げて100BPM前後にしました。落としすぎず、それでも焦りを感じない程度にです。するとすぐに気持ちが楽になり、頭の回転もゆるめることができて、さらに多くのことが聴こえてきました。
変化する箇所へ直行して、自分の色をつける
どうしても物にしたい箇所があるとしましょう。Moisesにはループセクションがあり、曲の各パートを自動で認識してくれます。例に挙げた曲では、サビでグルーヴが切り替わるのに気づいたので、そこへ直行し、ループセクションをオンにして、スペースキーを押しました。それだけで準備は完了です。
スマートメトロノームもオンにして、テンポが実際にどこにあるのかをより明確につかめるようにしました。すでに全体が整理されていたので、もう一度それぞれの要素を分離して、細部まで聴き込むのも簡単でした。基本のテンポとパターンが手に入ったと感じたところで、少し自分らしさを足すことにしました。レコードをそのまま写し取るのではなく、Pocket Queenとしての解釈を加えたのです。
いちばんファンキーなフィルに絞り込む
サビは固まってきましたが、ひとつ耳に引っかかるフィルがあり、戻って確かめたくなりました。そこでループセクションをもう一度オンにして、そこへ直行します。今回も必要のないものはすべて外しましたが、流れをつかむためにベースだけは残し、テンポを100BPM前後まで落としました。違うのは、今回はカウントインから始めたことです。
いちばんよかったのは、フレーズ単位で分解できたことです。毎回カウントインがきれいに導いてくれるおかげで、一つひとつの断片に集中して取り組めました。まずは原曲どおりに叩いて、何が起きているのかを正確に把握します。それができたら力を抜いて、自分らしさを足していきました。PQismを少しだけ曲の中に織り込んだのです。結果として、アレンジの本質は残したまま、そこに自分の色が加わりました。
本当の正念場
最後に、いよいよ最終テストです。ドラムスを完全にミュートしました。キックドラム、スネア、ハイハット、タム、シンバル、すべてです。ただしパーカッションだけは、アレンジにいい彩りを添えていたので残しました。そのうえで曲の残りの部分と一緒にライブ感覚で叩き、本当にテストに合格できるかを確かめました。
これで曲を丸ごと覚えられました
以上です。Moisesを使って、曲を丸ごと、要素ごとに分解してきました。次にグルーヴがミックスに埋もれているように感じたときや、ある箇所をきちんと叩けているか自信が持てないときは、トラック全体を繰り返し流しながら分かる日を待つのはやめましょう。曲を細部まで分解してみてください。
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