ずっと手こずっていたパート
どうしても覚えたいのに、録音の中でいろいろな音が同時に鳴っていて、細部まで聞き取るのがほとんど不可能。誰にでもそういうパートがありますよね。ミックスの奥深くに埋もれていることもあれば、たくさんの楽器と場所を奪い合っていることもあります。そういう曲は、腰を据えて、一回一回の練習に意図を持って取り組むことを求めてきます。
以前、まさにそういうトラックがありました。ミックスの情報量が多すぎて、ドラムスが何を叩いているのか分からなかったのです。だから3回ほど聞いて、残りは何となく想像で埋めて、結局一度もきちんと再現できませんでした。
転機:当てずっぽうをやめて、意図を持って練習する
そこで、ドラマーが何を叩いているのかを当てずっぽうで探るのをやめ、自分なりの練習手順を組み立てることにしました。まず曲をMoisesにアップロードし、パートごとに開いて、何が起きているのかを正確に聞き取りました。こうすれば各セクションを覚えられますし、ついでに自分のグルーヴも乗せられます。ここが多くの人の見落とすところで、好きな曲を覚えるというのは小節単位でコピーすることではありません。自分の要素や影響を加えて、自分のものにすることです。実際にどう進めたのか、最初から最後までお話しします。
ドラムスをミックスから取り出して、しっかり聴く
まずトラックをMoisesに放り込み、楽器ごとに分離しました。ベース、ホーンセクション、そしてドラムスはキックドラム、スネア、ハイハットまで細かく分かれます。音量が大きすぎるパートを下げて自分なりのミックスを作り、ドラムスだけをソロにして、ひたすら聴きました。
すると、元のミックスに埋もれていた要素がすぐに浮かび上がってきました。キックドラムにぴったり張りついたカウベルがあったのです。その存在にまったく気づいていませんでした。そしてポケットの位置がはっきり見えてきました。だからこそ分離する価値があります。パートを単体で聴けば、それは謎ではなくなり、きちんと習得できる対象に変わります。
意味が分かるまでテンポを落とす
次の問題はスピードでした。元のテンポではグルーヴの細部をつかみきれません。そこでテンポを落とし、じっくり味わうことにしました。Moisesではピッチが元のまま保たれるので、音が不自然になりません。おかげで、キックドラムに対してフレーズがどう乗っているのかを、当てずっぽうではなく体で感じられました。BPMを数ポイント落とすだけでも、ダイナミクスやドラムフィルの細部まで拾えるようになります。
難しい箇所をループして、叩けるまで繰り返す
そこから一気に核心へ。Moisesはすでに曲をイントロ、バース、サビとセクション分けしてくれていました。練習したい箇所にループを設定して、あとは回すだけです。
スマートメトロノームをオンにして、自分がポケットに収まっているのか、それとも自分のテンポで叩いているのかを確認しました。クリックは曲の実際のテンポに追従します。さらにカウントインを入れて、再生前に数回クリックが鳴るようにしました。これで1拍目を探してあたふたすることなく、繰り返しのたびに仕切り直せます。ループとクリックとカウントインを組み合わせれば、曲を丸ごと何度も聞き返すより、はるかに効率のよい練習になります。
少しずつ元のテンポに戻す
遅いテンポで余裕を持って叩けるようになったら、少しずつテンポを上げていきました。ほかのパートを戻していくと、曲のリズムセクションを自分なりにどう解釈できるかも見えてきます。すべてがかみ合って、以前は無理だと思っていた速さで叩けている瞬間が必ず訪れます。曲を段階に分けて、一つひとつじっくり仕上げていけば、そこへずっと早くたどり着けます。
補助輪を外す
ここが、自分でも意外なほど気に入った部分です。グルーヴが手に入ったところで、元のドラムスをミュートし、残りのバンドと一緒に演奏しました。感覚がまるで違います。覚えたことを曲の中で全部出しながら、キックドラムとベースが重なる瞬間を聴き、スネアの落ちる位置を体で感じられるのです。一人で練習していては得られない感覚ですが、Moisesなら補助輪を外して、部屋にバンドを丸ごと連れてきてくれます。
次はお客様の番です
曲を分離してパートごとに掘り下げれば、何が起きているのかがようやく聞こえてきます。テンポを落として各パートを理解し、手がついてくるまでループし、バンド全員と頭から通して演奏して、その曲を自分のものにしてください。次に難しい箇所でつまずいたときは、曲をアップロードし、分解して、時間をかけて、自分らしさを足していきましょう。
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